認知症高齢者と離婚

「離婚」という問題が非常に身近になっている今の時代、平成23年の年間の婚姻件数が約67万組に対して、離婚の件数は23万5千組となっており、これは単純に比較すれば、3組に1組以上が離婚をするということになります。
 我が国の離婚件数の推移は、昭和40年頃までは毎年約7万~8万組程度で横ばいでしたが徐々に増加し、昭和59~63年に一端減少傾向となったものの、平成以降増加の一途をたどり、平成14年に約29万組でピーク迎えました。その後は緩やかに減少に転じ、平成20年で25万1千組、平成23年で23万5千組となっています。

一方で、日本社会は少子高齢化の問題も抱えています。平成22年時点での高齢化率(人口に対する65歳以上の高齢者の割合)は23.1%(2958万人)となっており、今後ますます上昇すると予測されています。

この離婚社会と高齢社会・・・決して無関係ではありません。高齢者の夫婦が直面する介護の問題。この問題をクリアしていくためには、夫婦の愛情、絆といったものが非常に重要です。
しかしながら、平均寿命の伸びに伴う、定年後のセカンドライフへの考え方の変化、特に女性の、「私の人生は私のもの」というような権利意識の向上などから、熟年離婚、高齢離婚を選択する方も増えています。
こうした意識の変化に、今後ますます増加するであろう認知症介護の問題が絡んでくると、「認知症と離婚問題」という非常に解決の難しい状況が発生します。

離婚の現状(離婚者に占める高齢者の割合)

平成20年の総離婚件数は、251.136件となっており、そのうち離婚時の年齢が65歳以上であったケースは、夫の場合で8.950件(約3.6%)、妻の場合で5.316件(約2.1%)となっています。

夫婦の離婚届時提出年齢

棒グラフ

配偶者が認知症高齢者の場合の離婚について

一般的な離婚の方法

● 協議離婚  ・・・・・・ 夫婦が話し合いによって離婚に合意した場合
● 調停離婚・訴訟離婚 ・・・・・ 夫婦間の協議では合意できない場合

認知症高齢者との離婚はどうすればいいのか?

認知症患者は、その症状により離婚協議ができない(判断能力が不十分な)場合には、
協議離婚は不可能。
離婚訴訟を起こす必要がある。(後見人の選任が必要)

配偶者が認知症の場合、離婚は健常者よりもかなり厳しい

離婚訴訟を起こす場合には、民法で定められた離婚原因が必要です。

・民法が定める離婚原因 民法第770条第1項)

1.不貞行為(浮気・不倫など)
2.悪意の遺棄(家に帰ってこない、生活費を渡さないなど)
3.3年以上の生死不明
4.回復の見込みのない強度の精神病
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由(DVなどもこれに含まれる)

となっています。
つまり法的に離婚が認められるためには、上記の1~5のいずれかに該当する必要 があるということです。
では、認知症の場合にはいったいどの原因を適用することになるのでしょうか?

これまでの裁判所の判断をみてみると、認知症を回復の見込みのない強度の精神病にはあたらないと しており、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして、離婚についての判断をすることが多いよう です。

ただし、これまでの認知症などを理由に離婚が認められている判例をみると、配偶者が介護や治療に 十分に手を尽くしているか、離婚をした場合に認知症にかかっている配偶者が老後の生活をしていけ る目途が立っているか等を認定した上で離婚請求を認める判断をしており、決して簡単に離婚できる わけではありません。

認知症配偶者との離婚を考えた場合にクリアすべき問題

  • 離婚後の認知症配偶者の生活保障ができるか
  •  
  • 財産分与に関する問題
  • 明確な離婚理由があるか
  • 認知症に関連した過去の離婚判例へ

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